CHILD44
Tom Rob Smith
Pocket Books 2009
470ページ
Longlisted for the Man Booker Prize 2008
ーあらすじー
スターリン政権下の旧ソ連の時代、MGB(国家保安省)のエリート幹部であったレオは国に忠実に仕えて、多くの「反逆者」たちを発見し、強制収容所に送る事を手柄としてきた。しかしある決定的な出来事をきっかけに、自分はこれまで無実の人々を死に追いやってきたのだと気づく。
そんな中、部下からの恨みをかい、その悪質な陰謀によって地方へ左遷されてしまうレオ。
そしてソ連各地で転々と発見される子供たちの惨殺死体。
レオはこれらの犯人は同一人物であると信じ、これ以上無実の人々が疑いをかけられないよう、この犯人をつかまえることに使命感をもやす。
ー感想ー
この本は単なる猟奇的殺人事件の話ではない。
スターリン政権下の厳しい政治的抑圧によって人々は自由な発言や思想を持つことは全く許されず、一旦、秘密警察から「反逆者の可能性あり」と疑いの目を向けられたら最後、証拠などあるなしにかかわらず処刑されてしまう。なんて恐ろしい社会。
そんな当時の様子がかいま見れる事が、この本の読み応えを一層深いものにしているんじゃないかな。
それから主人公レオと妻ライザの関係。最初は仮面夫婦といってもいいような間がらだったのに、この事件を共に追っていくうちに2人の間に新たな感情が芽生えていく様子にホッとするような部分もあり。
全体としては、最初のほうに読んでいた頃は想像だにしていなかったアッと驚く展開が最後のほうにあったりと、かなり読み応えのある作品だと思う。
Child 44
(2009/04/01)
Tom Rob Smith
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邦訳のあるようなのでぜひ!
チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
(2008/08/28)
トム・ロブ スミス
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チャイルド44 下巻 (新潮文庫)
(2008/08/28)
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