すごく話題だったときからだいぶたって今頃読んだ。
日本から送ってもらう送料を少しでもケチりたかったので文庫本になるのを待っていたという事もあって。
でも6冊もあるから、実際の所、送料浮かせられたのかな、どうなのかな。
どちらにしても、文庫本のほうが本棚の場所を撮らないから好き。
さて、感想だけど、、book1と2はすごく面白かった。ストーリーにぐいぐい吸い込まれた。
村上春樹氏特有の、わけのわからないモヤっとしている部分を楽しめる自分がいた。
でもbook3になると、その吸引力はかなり弱まった。
1と2が面白すぎたせいもあると思うけど、なんか無理矢理話を長くさせているような気がどうしてもしてきちゃって。
モヤっとしていた部分も結局最後までよくわからなかった。
でも全体を通してはかなり読み応えある作品だった。
ストーリーも面白いけれど、やっぱり彼の作品は登場人物の描写の仕方がとてもユニークだったり、登場人物同士の会話の内容が印象的だったり、彼らが頭の中で考えている事なんかが面白い。
例えば天吾のお父さんの、「説明しないとわからないような事は説明してもわからない」というセリフ。
うんうん、それって私も思い当たることがある、なんて思ったり。
それから牛河の太い、今にもくっつきそうな眉毛について、「まるで激しく求め合っている2匹の毛虫」という表現が私のツボにはまった。
そうそう、その牛河。なんで最後はあんなことに・・。読み終わった後は、主人公の天吾と青豆のロマンティックな成り行きよりも、実はその牛河に関する「なんで?」という気持ちのほうが強く残った。本当はそんな悪いやつじゃないのにねぇ。読んでいくうちに、そう思う人は多いんじゃないかな。主人公の2人より、印象に残るキャラかも。