Nineteen Minutes
-Jodi Picoult-
Hodder&Stoughton 2007
455ページ
ーあらすじー
2006年3月6日、アメリカのとあるごく普通のハイスクールで銃撃事件が発生。
犯人は裁判官の娘であるジョシーの幼なじみで、学校でずっといじめを受けていたピーターだった。
たった19分の間に10人の命を奪い、19人に負傷を負わせたピーター。
そして一緒にいたボーイフレンドを殺害されるも自らの命は助かったジョシー。
ジョシーは裁判で目撃証言を求められるものの、ショックで何も覚えていない、と証言を拒否するのだが・・。
ー感想ー
単なる犯罪小説ではなく必ず読み手に社会的問題にかかわる様々な事を考えさせる本。
銃が簡単に手に入るアメリカ社会のことや、学校でのいじめ、そのいじめを防ぎきれない大人たち。
小説の中の犯人、ピーターの人生は本当にせつない。体がつきが小さく繊細でスポーツマンタイプとは程遠い、ほぼただそれだけの理由で幼稚園のころから執拗ないじめを受けてきたピーターの復讐劇。
でももし銃が簡単に手に入らない環境だったら誰の命も奪われなかっただろうし、ピーターも自分の人生を一生棒にふらずにすんだはず。
結局そんな社会がこういった犯罪を生み出している。
この話はフィクションだけれども実際に未成年による銃乱射事件はアメリカをはじめ他国でも例があるし。
いじめもそう。何でもかんでもカテゴリー分けしたがる傾向にある社会。
そういったところから差別が生まれる。
ストーリーの中では「人気者かそうでないか」といった基準が登場人物である高校生のジョシーやピーターの最大の関心ごとだったようにもとれる。
日本は幸い銃社会ではないのでその点では救われているけど、弱肉強食らしき事をそれとなく教え込まれたり、和を尊重するあまり個性が重視されないような、もし未だにそんな教育現場だったとしたら残念だ。
だいぶそれたかもしれないけど、そんなような事をいろいろ考えた。
小説としてはすっごく面白い。
最後まで飽きることなくぐいぐい読めるし、最後に待っている衝撃的な事実もなかなかのもの。
ただ欲をいえば、最後にもう少しジョシーとピーターの心の内が聞きたかったかな。
お勧めの1冊です。
Nineteen Minutes
(2007/03)
Jodi Picoult
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邦訳はこちら。
19分間 上 (イソラ文庫)
(2009/11/10)
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